2022/1/30 岸ゼミフィールドワーク:言葉と絵本のライブラリー

ゼミ生の報告の一部を紹介★
報告書閲覧希望の方はご連絡ください。

「ななめの関係」を結ぶ場所

親や先生と子どもの縦の関係、子どもたち同士の横の関係。

でも人との結びつきって縦と横だけじゃないはず。

街のお店のご主人や、一緒に遊んでくれる学生のお兄さんお姉さん。

そんな縦でも横でもない、年の離れた友達のような「ななめの関係」を結ぶことが、今の子どもたちにとって難しくなっていると、ようこさんは話してくれました。

ミッカは、そんなななめの関係を生み出す場でもあるみたい。訪れた子どもたちは、スタッフの方々と自由に会話し、ものをつくります。ちょっとお姉さんな女の子は、歩き始めたばかりの男の子の面倒を見るように一緒に遊んでいます。そして私たちも、子どもたちと共に工作して、本を読んで、ミッカで遊んで。

空間の中にいる人たちがいつの間にか結びつき合いながら、やわらかい一体感を生み出している。そんなあたたかさがミッカにはありました。

隠さないデザイン

大人ってついつい
いいところだけを見せたくなっちゃうのかな
きれいなもの、整っているもの、完成したもの

だから私たちがいつも使っているものが
どんな場所で だれの手で どんな風に作られているのか
実はあんまり知らないの

でもミッカはそんな裏舞台を
あえて見せちゃう
なんなら下準備という仕事さえ子どもたちと一緒に!

大人たちが こうかな?どうかな?と考えながら
もくもくと手を動かしている姿を
子どもたちは少し不思議そうに見つめてくる

なにを作ってるの?って気になっちゃう
私にもできるかもしれない、やってみたいって気になっちゃう
次の工作の日への楽しみもムクムク膨らむね

横瀬町×JICA×ECFA課題解決フィールドワーク報告(4期 戸澤月)

横瀬町×JICA×ECFA課題解決フィールドワーク報告(4期 戸澤月)

本フィールドワークの目的

・国内の地域における課題解決に対して、社会開発調査やJICAスキーム(中小企業支援)の活用など、国際開発の視点・手法により、新たな解決アプローチを他業種混合チームにより提案する。

・横瀬町が総合計画の中で位置づける「カラフルタウン」「SDGsの推進」の実現に向けて、企画案をワークショップ形式で検討し、企画を具体化する。

・横瀬町×ECFA×JICA東京連携案の第一弾として、研修(フィールドワーク)を実施し、その後の展開として市民参加協力分野でのイベント開催や、情報収集調査への発展も検討する。開発コンサルタントとJICAが国内の自治体にて、多文化共生やSDGsをテーマに、調査や企画開発に関わる事例となることを目指す。     

・現実の多文化共生に関わる社会課題について考えてみる。

・町内でのフィールドワークを通じて、課題解決に必要な、情報収集、分析、解決方法の模索、企画提案、具体的アクションの一連の流れができるようになる。

・初対面かつ多様な立場のメンバーとの対話を通して課題に取り組むことで、普段と異なる思考やアイデアを生み出せることを体感する。

・自分が置かれている環境下においても、積極的に多文化共生を目指すための社会課題の解決に取り組めるよう自信をつける。

  • 感想

 フィールドワークに参加してまず大前提としてとても楽しかったです。コロナ禍で久しぶりのフィールドワークだったので、やはり実際に現地を散歩し、地域のご飯を食べ、1泊2日を共にしながら協働できるのは距離も縮まりやすいし、有機的で新しい刺激の多い体験だなと思いました。多文化共生、教育工学を実際に社会で実践しているいわば先輩の方々と実践を共にし取り組みを間近で感じることができたのが、とても勉強になっただけでなく、今後の自分が社会に出るうえでの自信にもなりました。また、自信になったばかりか、私たち岸ゼミでならもっと上手くできるだろうなと思ったこともあったので、簡単にシェアさせていただきます。

 1つ目が1日目のタイムスケジュールです。現地に出向いているにも関わらず、オンラインでもできるような一方向の講義ばかりだったのが気になりました。とりわけお昼を食べたあとの3時間ぶっ続けの講義は、集中力が持たず睡魔との戦いでした。マスクをしている状態でマイクのない講義だったのも、声が非常に聞こえづらく睡魔を助長されました。内容は非常に興味深いものだっただけに少々残念でした。インプットするにせよ、現地に出向いた意義のある方法を検討する必要があるなと思いました。

 2つ目は協働の方法です。議事録や案出しの際にそれぞれのドキュメントを使用する形態が少々やりづらかったです。共有のドキュメントや方法の提案をしようとも思ったのですが、JICAやECFAの方々の割合が多かっただけに普段やり慣れているやり方でやった方がいいかなと遠慮してしまいました。今回はJICAとECFAの協働に学生である私がお邪魔させていただく形だったと思うのである程度しょうがないかなとは思いましたが、新しい方法を持ち込んだり提案するために、協働の際に団体ごとの人数を近くすることも大事なのではないかと思いました。こうした点に関しては、屋久島の教材開発の方がやりやすさを感じました。

 上記のようなことを考えながら、岸ゼミで参加できそうな余白についても考えながらフィールドワークを行っていたので、そちらについてもシェアさせていただきます。

  • 岸ゼミが参入できそうな「余白」

 まず第一として「日本一チャレンジしやすい町」を謳っている横瀬町はまさにその通りの町でした。役場の方との距離が近く声がすぐ届くので、なんでもできると思わせてくれるような雰囲気です。くわえて、カラフルタウン(多文化共生)を目指し実験的なことをしているので、非常に岸ゼミと親和性の高い町だなと思いました。協働する中で簡単に思いついたのは、

  • 岸ゼミ合宿 in横瀬町:今回のような課題解決FWを是非岸ゼミのみんなともしたいと思いました。
  • ゼミとしてのよこらぼ応募
  • 出張リトルテイスト in横瀬町:チャレンジキッチンENgaWAとの協働が可能だと思いました。あしがくぼ笑楽校に使用できそうなキッチンもあります。

 また、今回のFWで採択されたのが簡単に言うと「Area898を敷居の低いものにするため、外国文化を身近に感じてもらうために、テーマごとの映画上映会」「日本語教育を取り入れるための仕掛けづくり」なのですが、後者は日本語の先生を目指しているしおりなど、参入の余地があるかなと思いました。私自身も今学期日本語教育実践科目を受講したのですが、オンラインでのみしか実習を行えなかったので両者に需要があると思います。

  • 参考にできそうなアイデア
    • Area898:オープン&フレンドリースペース。今流行りのコワーキングスペースといってしまえばそれまでですが、名前の898(やくば)の通り町の公務員が会議等にも利用しています。また、どの団体が会議を行っている最中も貸切にはならず、人の出入りがあります。流動的で偶発性が生まれやすい仕組みだと思いました。

Lois Holzman先生との会話ーゼミにおけるYES AND

セミでは、パフォーマンス心理学を土台に実践を行っており、学生たちが、経験したことがないこと、やりかたがわからないことに取り組む中で、集合的創造性を発揮しながら、頭ひとつ分の背伸びができる学習環境をつくっています(つくるようにしています)。

その中で、たびたび3年ゼミで「問題」として話題にでるのが「YES AND」。たとえば、「岸ゼミではYES ANDを重視しているので、本音がいえない」「表面的な関わりになってしまう」という声があったのです。もちろん、YES ANDで「話し合いやすい場づくり」「挑戦しやすい関係づくり」ができているのも事実。

上記のような意見ができるのはなぜか?という問いを持ち、これについてロイス先生と院生と会話しました。

ひとつは、YES ANDを狭義に理解して「正しく」実践しようとしてしまっているのかもしれないということ。私たちの教育は、生徒らが教えられた通りに実践することを求めてきた側面があります。なので、YES ANDという概念を「相手の意見を受け入れ、つなげること」と理解し、それをやらなければならない、その結果、自分の意見がいえない、と学生が、感じてしまったいたのかもしれません。

とはいうものの、私が学生たちのその理解を、「その考えは間違っている」と言うと、YES ANDに正しい答えがある、と理解させてしまう危険性があります。私が大切にしたいことは、正しく実践させることではなく、言葉(この場合YES AND)の意味を、自分達なりにつくっていくこと。では、どうしたらいいのか?

ロイス先生からもらったヒントは次のようなもの。
YES ANDを遊ぶこと。

たとえば、
・YES AND は相手に同意(agreement)することではなく、相手の考えをまず受け入れ(accept)、それに関わろうとする(offer)こと
・YES ANDは、聞く(listening)の実践(excersice)
・YES ANDは、共に完成していくこと(socially completing)
など、YES ANDのことばともっと遊んで共にその意味を作っていくことが大事。関連して、言語ゲームも話題にでて、はっと気づきました。遊びが足りてなかったなぁ、と。

実践へのヒントをもらって、明日からがさらに楽しみになりました。うまくいかないことも、問いに変えて、会話しながら、その方法をつくっていく。まさに、今、ロイス先生と一緒に経験していることも、パフォーマンス心理学の実践だなぁ、と思いました。

ロイス先生、いつもありがとうございます!
楽しい時間を一緒にすごしてくれる院生のおんり、まの、わたるにも感謝!

★ロイス(Lois Holzaman)先生のTED Talk

翻訳本もたくさんでていますので、関心のある人は是非一緒に深めていきましょう!