1/13 国際共同研究に関する研究会

国際共同研究の研究会@関西大に、けいじゅが参加してくれました。

研究会では、国際教育開発における、「開発」に関して中心的に議論をしました。国際教育協力では、教育をより良い方向へと変化させていくという取り組みをしていきますが、その国、その地域によって、betterment(よりよい基準)は違います。たとえば、ミャンマーでは、現在、日本の教育開発において形成的評価が導入されているけれど、日本での形成的評価をそのままミャンマーに持ってくることはできません。形成的評価のためには、「自分の考えを言語化すること」をはじめ、「批判的・創造的に自己の学習を評価すること」「言語化されたものを教師と生徒のコミュニケーションとして活用されること」などが前提となります。しかし、つい最近まで軍事政権下にあったミャンマーにおいて、そういった意識や態度は生き得る上でとても危険でした。ここ数年で民主政権になったとはいえ、そういった歴史性の配慮も必要になります。さらに、ミャンマーに関しては、135の民族がいるため、上述したような教育をするためには、民族の言語や習慣、価値観といったことの考慮も必要です。

最近では、大学のサービスラーニングとして学生が途上国の学校へ行って授業をしたり、活動をしたりすることも多く実施されるようになってきたので、国レベルだけではなく、市民レベルでも同様のことがおこっています。私たちは、文化という衣を纏ってその国に入り、自分にとってのbettermentを無意識に押し付けてしまうことがあり、それが良い方向にいくこともあるが、そうでないこともあります。またその「良い」という基準も誰にとって、何がいいのか、誰がどのような資格でそれを「よい」と決めるのかについても意識的になる必要があります。

ミャンマー(ティーダ先生)、カンボジア(サローム先生)、フィリピン(ピタガン先生)の3人の研究者とこのテーマについて議論しました。この議論をけいじゅがグラレコでまとめてくれ、議論を通しての気づき問いを重ねながら深めていくことができました。

****けいじゅのブログ記事****

このたび、自分を温かく迎え入れてくださったすべての方々に心から感謝します!とーっても素敵で温かい繋がりのもと学びができたので、以下、振り返りとしてまとめたいと思います。

岸先生に「海外で教育の理論を実践してる人たちの話聞けるで」と言われ、二つ返事で今回の教育メディア学会のシンポジウムに参加させていただきました。2期生にアヨンと1期生のえいちゃんと一緒に向かい、現地では明星大学の3名の学生さんとも一緒に行動させていただきました。明星大学の学生さんたちは、2月にカンボジアにて自分たちで作成した指導案を短期的に実践する予定なんだそう。すごい、ステキな取り組みだ。

現在、ベトナム・ミャンマー・フィリピンでは教育の実践の場にICTを普及させる活動をしている方々がいます。この2日間を通して、僕ら日本人など外からくる存在が、その土地に入ってICTを教育現場へ普及させることの課題は何かを考えました。2日間を通して、質が高く非常に深い学びになったと感じています。普段僕たちが当たり前のように受けてきた教育は、こうした専門の方々による綿密な話し合いの積み重ねによって生み出されてきたのだと感じました。

2日目は、関西大学の高槻キャンパスにて、初日の話をさらに深め発展させるために研究会を開きました。カンボジアからいらしたサールン先生は、ICT教育を普及させるには現地の教師への動機付けが必要だと話してくれました。そこへ、カンボジアで指導案を実践する予定の明星大学の生徒さんがサールン先生に質問を投げかけました。彼女たちの「多くのセクターがカンボジアで指導案を実践している中で、革新的な内容もあれば、似通ったようなものも多いのではないかと思う。指導案を受け取る側としては、どういった指導案が嬉しいか。」という質問に対して、サールン先生は「現地の教師はうまく想像がつきにくいかもしれないため、一つの指導案の中でいくつか選択肢を持っておいて、ひとつずつ提案していくやり方がいいと思う。いろんな人と関わって決める指導案には、同じようなものなんてひとつもない。」と答えました。僕はこの時、少なくともサールンさんの周りでは、指導案は単なる完成品ではなく、その土地の人と協力して完成させるものとして捉えていることに気がつきました。この点で言えばミャンマーからいらしたティーダさんのお話もそうで、ミャンマーでは外から方法論をそのまま持ってこられて失敗する例もあるんだそう。何にしても、使う人たちが最大限に活用できるようにリメイクしなくてはいけないんだ。この単なる押し付けにならないよう工夫することは、国際協力の道に進む自分にしたら大切な考え方で、とても勉強になりました。

学んだのはそれだけではなく、その後の励ましの言葉もそう。サールン先生は「カンボジアの子供は元気いっぱいで先生に対してリスペクトの心を持っているから、自信を持って大きい声で頑張って!」と明星の学生さんたちへ伝えました。おそらくサールン先生は、現地の教師や日本の実習生たちをこのようにして動機付けをし、元気づけているのでしょう。さらに僕は、言葉だけではなく先生の話す姿勢からも学びました。先生は明星大学の生徒さんたちの目を見て、丁寧に話していました。ステキな姿勢だと素直に感じ、こういうことは広めていきたいと思いました。

また、自分にとっては未知の領域で質の高い話し合いをグラフィックレコーディングにまとめたことはこれまでにないくらい貴重な経験になりました。議論で学んだこと、グラレコで学んだこと、全てを吸収してこれからの道に生かそうと思います。てか生かします。