アート×探究の新たな可能性を一緒に広げませんか?
アート・ベースリサーチ(ABR)を 体験し、語り合い、深める 研究会を開催します!
この場は、研究者、実践者、大学院生、学部生、高校生―― ABRに関心のあるすべての人が集い、学び合うオープンな空間です。
日時:2025年12月20日(土)
場所:明治大学中野キャンパス 5Fホール、5Fフロア、6Fプレゼンスペース
運営:明治大学、関西大学、筑波大学、東京学芸大学、長岡造形大学
共催:教育メディア学会 ABR SIG
企画・実施者
岸 磨貴子(明治大学) / 川島 裕子(関西大学) / 松原 正樹(筑波大学) / 笠原 広一(東京学芸大学) / 小松 佳代子 (長岡造形大学) / 岡原正幸(慶應義塾大学) / 萩原健(明治大学) /
青山征彦(成城大学)
ABRに取り組む皆さんの実践を共有する場です。
ゼミや研究室、高校の授業、個人での取り組みなど、どんな形でもOK!
ぜひみなさんの実践を発表してみましょう!
ドキュメンタリー演劇の公演もあります。
ワークショップ形式の4つのセッションで、ABRを実際に体験できます。
初めての方も大歓迎!アートを通じた探究の可能性を、身体で感じてみましょう。
☑ ABRに興味があるけれど、どう始めたらいいかわからない
☑︎ 他の人の実践を知り、刺激を受けたい
☑︎ 実際に体験しながら、ABRをもっと深く理解したい
ABR実践を発表したい方は、企画・実施者にお問い合わせください。
ゼミ・研究室単位、高校の授業単位、個人での発表が可能です。
発表/出展の可否は、企画チームで検討の上、お返事させていただきます。
当日は、写真や映像を記録し、後日ウェブで公開予定です。
また、本ABR研究会は、実践者の研究を目的としたものもございます。
その際、アンケートやインタビューなどをお願いすることがありますのでご承知ください。
※プログラム詳細は下記に記載
| 時間 | 流れ |
|---|---|
| 9:30-10:00 | 受付 |
| 10:00-10:30 | オープニング |
| 10:30-13:30 | |
| 13:30-15:00 | ABR WS企画1:シアターワークによる身体感覚のアート表現(松原研究室) ABR WS企画2:創作と探究の美学(IMPRO Machine) ABR WS企画 3:アートベース・オーラル・ヒストリー(池尻研究室) ABR WS企画 4:あなたのライフを作品にする(岡原研究室) ABR WS企画 5:経験と記憶のMAKURAづくり(笠原研究室) |
| 15:00-15:10 | 休憩 |
| 15:10-16:00 | 4企画の参加者同士のシェアリング |
| 16:00-16:10 | 休憩 |
| 16:10-17:10 | 講演(長岡造形大学 小松佳代子教授) |
| 17:10-17:30 | パネルディスカッション(岸ゼミ/岸研究室) |
| 17:30-17:40 | クロージング |
企画1(13:30-15:00)
◾️企画テーマ:「シアターワークによる身体感覚のアート表現」
◾️企画者団体名:筑波大学身体知と芸術表現研究室(松原正樹研究室)
→ https://sites.google.com/view/matsubalab/
企画概要身体をゆるませ、内側から立ち現れるイメージにゆだねながら、何かを演じる、という身体の芸術表現は、自身の源流に気づきを呼び起こし自己確立や他者寛容を育てます。芸術療法・マインドフルネス・身体知教育・演劇を応用した「シアターワーク」は、参加者の意識を変容させるものとして、現在、日本各地の高等教育機関、企業のリーダーシッププログラム、オルタナティブな共同体で実施されています。本WSでは、シアターワークのエッセンスを通じて、「からだでわかる」経験を味わうことを目指します。
参加人数20人
企画2(13:30-15:00)
◾️企画のテーマ:「創作と探究の美学ー方法としてのインプロヴィゼーション」
◾️企画者名:黒木歩・堀光希(IMPRO Machine)
企画概要即興にはあらかじめの予定がない。即興はいつも気づけばはじまってしまい、そして、探究してしまい、ついには何かをつくってしまう。即興とはその意味で、アクシデントである。そして、はじまりが即興的である限り、そのあいだは探究的でもある。そしておわりが論文、ポスター、演奏、戯曲、ダンス、彫刻、工芸、ビジネス、生活、沈黙など、どのような上演形式になろうがそれらは同等に知的生産物とみなしてよい。これをアート、すなわち学術/芸術のどちらかに位置づけるかは明瞭判然としない。少なくとも両者を隔てようとしている「/」が私たちの居場所かもしれない。
参加人数20人
企画3(13:30-15:00)
◾️企画のテーマ「アートベース・オーラル・ヒストリー:過去の証言をもとに絵画史料を作成する」
◾️企画者:池尻良平(広島大学大学院 人間社会科学研究科 池尻良平研究室)
企画概要オーラル・ヒストリーは、ある時代の当事者から過去の経験を直接聞き取り、記録としてまとめる歴史研究の手法です。文書史料が少ない分野では当事者の記憶が重要な情報源になるため、重要な手法になっています。これまではインタビューの結果を文章として記録したり、インタビュー映像そのものを残したりすることが一般的でしたが、近年では『原爆の絵』など、過去の証言をもとに当時の様子を絵画史料として記録する取り組みもされています。聞き手と語り手の対話を通し、過去の記憶を掘り起こす共同作業ともいえるオーラル・ヒストリーにおいて、当時の絵を共同で描くという行為は、より深く過去に向き合うことにつながります。本企画では、オーラル・ヒストリーを体験してもらいつつ、それを絵として記録する中で、過去を掘り起こす対話がどう深まっていくかを体験できるワークショップを開きます。
参加人数20人
企画4(13:30-15:00)
◾️企画のテーマ「ライフの承認・証人となる(あなたのライフを作品にする)」
◾️企画者名 一般社団法人岡原ゼミ・岡原正幸(慶應義塾大学)
企画概要私たちは人文社会系の知の社会実装として、ABR実践が人のライフを豊かにしエンパワーする(レジリエンスやウェルビーイング)ことをゴールにして活動しています。
ここでは「家族」をテーマにして数分づつ語りましょう。あなたの語りを聞いた方が、その「しょうにん」として、あなたの語りの一場面をエンアクトメントします。寸劇、パフォーマンス、ダンス、サウンド、朗読などの表現で、あなたの家族にまつわるライフの体験を、参加者で再体験してみましょう。
参加人数20人
企画5(13:30-15:00)
◾️企画テーマ:「経験と記憶のMAKURAづくり—いつか見る夢のために—」
◾️企画者名 東京学芸大学 笠原研究室
企画概要東京学芸大学の笠原研究室では、美術教育学研究の分野で主にABRやA/r/tographyなどのアプローチによる実践研究に取り組んでいます。修士・博士課程院生、海外大学等と共同研究や連携プロジェクトを進めています。美術教育はもちろん、保育、国際開発、ワークショップ研究などさまざまな関心とフィールドを持った方々が研究しています。今回は小さな透明パックを用いて小さな「MAKURA」をつくり、あなたの経験と記憶にアクセスし、思いがけない夢やビジョンとの出会いを生み出します。これからの自分のあり方を考えるヒントとなるようなささやかな探究に取り組んでみます。
参加人数15人
4企画の参加者同士のシェアリング(15:10-16:00)
◾️企画の参加者同士のシェアリング:「質感の収穫」
◾️企画者名:遠藤友咲(筑波大学人間総合科学学術院 人間総合科学研究群 情報学学位プログラム 博士前期課程2年 )(松原研)
企画概要自身の生きづらさに対して「感情を物質として扱う」ワークなど、身体感覚に基づいたバーチャルな現実感を用いて対処しようとする一人称研究を行ってきた。
現在は、自明に思えていた自己や世界が「根源的なわからなさ」をもったものとして感じられる体験や、そこから生じる懐疑論的な世界認識を抱えながら「私」としても生きていくあり方の研究を行なっている。
参加人数企画概要それぞれのワークショップで得た体験の質感を、ジェスチャーによる見立て行為やドローイングなどによってそのままに共有し、それを呼び水にして対話を深めていく。
参加人数企画1−5に参加された参加者全員(100名:多目的室)
公開講演(16:10-17:10)
◾️講演テーマ:アートと研究のあいだ―「わからない(=つまらない)」から「わからない(=おもしろい)」へ
◾️講演:長岡造形大学 小松佳代子教授
プロフィール長岡造形大学教授。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学、博士(教育学)流通経済大学、東京藝術大学を経て2018年より現職。2014年にABRに出会い、東京藝術大学大学院・長岡造形大学大学院にて、美術制作に取り組む大学院生とともに、美術制作過程における知の内実を明らかにするべく研究を続けている。
主な著書『美術教育の可能性―作品制作と芸術的省察』(編著:勁草書房2018)Arts-Based
Methods in Education in Japan(編著:Brill
2022)、『アートベース・リサーチの可能性―制作・研究・教育をつなぐ』(編著:勁草書房2023)、翻訳:E.アイスナー『啓発された眼―教育的鑑識眼と教育批評』(共訳:新曜社2024)P.
リーヴィー『アートベース・リサーチ・ハンドブック』(共訳:福村出版 2024)展覧会企画:Articulation―区切りと生成(共同企画:小山市車屋美術館 2022)
講演概要アートを研究に入れることで、それ以外の方法では見えなかったことを掬いあげることができる、そこに賭けるのがABRだと思います。多義的で未規定なアート活動は、リジッドな方法論とエビデンスに基づくことが求められる研究をどう組み換えていけるでしょうか。簡単なことではありません。アートをベースにすると言っても、そのやり方はさまざまで、確定した方法があるわけでもありません。暗闇を手探りで進むような、道なき藪を自分で切り拓くような探究が求められます。それでも、アート制作や教育実践のただなかで得た実感を基盤に研究を進めていく、そこに大きな魅力があるのだと思います。本講演ではそうした探究の難しさとおもしろさをみなさんと共有できたらと思います。
備考:本企画・実施は、以下の助成を受けています。
・探究学習を多様化するアートベース・リサーチ: 循環的共創を生み出す教育環境デザイン(研究課題:24K06243)
・アートベース・ペダゴジーの教員養成プログラム開発とリサーチハブ構築による社会実装(研究課題:20KK0045)
・パフォーマンス・ペダゴジーのプログラム開発と自己変容プロセスの解明(課題研究:22K13024)
・アートベース・リサーチとケアの美術教育(研究課題:24K03559)