知恵の蔵

「知恵の蔵」では、本研究で得られた着想をもとに、1-2コマ(1コマ45分)で実践できる映像コンテンツを活用したワークショップ型授業モデルを紹介する。

たとえば、田端実践で行った「映像の当事者になって手紙を書いてみる」、菅井実践の「映像の当事者になりかわって演じてみる」、佐久間実践の「映像を参考に自分達の発見をダンスで表現してみる」といった活動は、映像コンテンツの情報と自分ごとをつなぐきっかけとなるだろう。本知恵の蔵は、視覚翻訳家の黒木歩さんと明治大学岸研究室の連携によって、2024年度以降も継続的に更新していく。

映像コンテンツ×手紙を書く

流れ イメージ 具体的な例
導入

映像を視聴させる
映像にでてくる「誰か」を自分に住まわせ、その人の言葉遣い、感情の動き、表情、持ち物、人との関わりなどをじっくり観察しながら、その人を自分に住まわせていく。

展開

当事者の気持ちを想像する
たとえば、映像に登場した難民のひとりになってみる。彼の大切な人は誰だろうか。家族?恋人?友達?その人にとって大切な人はどんな存在なのだろうか?想像してみよう。

当事者になって「大切な人」に手紙をかく
大切な人に手紙を書く時、私たちは、自分の状況や気持ちを鏡のように映し出すわけではなく、相手に何を伝えたいかを考えて表現する。当事者になって言葉を紡いでいく。

まとめ

書いた手紙を友達に渡して読んでもらう
友達に自分の書いた手紙を読んでもらおう。手紙に書いた言葉から、相手にどんな気持ちや情景を伝えることができたか確認してみよう。また大切に人に手紙で伝えれたこと、伝えれなかったことを、読んでくれた友達に伝えよう。

映像コンテンツ×日記を書く

流れ イメージ 具体的な例
導入

映像を視聴させる
映像にでてくる「誰か」を自分に住まわせ、その人の言葉遣い、感情の動き、表情、持ち物、人との関わりなどをじっくり観察しながら、その人を自分に住まわせていく。

展開

当事者の状況の変化を調べる
日記の特徴は、状況の変化によって自分の気持ちも変化する点である。たとえば「難民になる」ケースを取り上げる場合、それまでにどんな状況の変化があるか調べてみよう。

当事者になって、日記を書く。
その日だけでなく、たとえば、難民に「なってみる」場合、国を出ると決めた日の日記、出る時の日記、他国へ到着した時の日、難民になった日、生活が落ち着いて日など、時期によってどう気持ちが変わるかを書くのも良い。

まとめ

書いた日記を読み合う
同じ経験をしても、日記に綴られる気持ちや経験はそれぞれ違うでしょう。どんな共通点があるのか、どんな違いがあるのか、それはなぜか話し合ってみよう。

映像コンテンツ×人型ワークシートをつかって色で表現する

流れ イメージ 具体的な例
導入

映像を視聴させる
映像にでてくる「誰か」を自分に住まわせ、その人の言葉遣い、感情の動き、表情、持ち物、人との関わりなどをじっくり観察しながら、その人を自分に住まわせていく。

展開

人形ワークシートで登場人物を分析する
人型のワークシートをつかって、感じたこと、考えこと、身体のどの部分が関係しているのかなどを書き込む。

まとめ

自分の分析を他者と共有する
それぞれ書いたワークシートをペアまたはグループで見せ合い「なぜ赤色を使ったの?」「なぜ、こう考えたの?感じたの?」と会話をし、それぞれが感じ、考えた映像の経験を共有する。

他にも、映像にでてくる主人公とは別の登場人物をひとり選んで、その人からみた心の変化を4コマ漫画で表現したり、ホットシーティングなど演劇手法を用いたりして、その人になってみてインタビューを受けてみるなど、映像を起点としたパフォーマンス実践はいくつか考えられだろう。