ゼミ運営のコンセプト

岸ゼミのコンセプトは、学びたいと思ったときに学べる変わりたいと思ったときに変われる環境」でありつづけることです。そしてその環境は、ゼミ生ひとりひとりが、相互に学習・発達のためのリソースとなることで、相互作用的に作り出していきます。

岸ゼミって何をしてるの?と聞かれると、答えるのに困るゼミ生がいるようですが、自分の問題意識や目的意識が生まれるまでは多いに悩んでください。ジレンマを感じてください。そしてそのジレンマを自分の研究(探求)につなげてください。

ゼミでは、自分の問題意識や目的意識が持てるように次のようにデザインしています。すでに問題意識や目的意識をもってゼミに入室した学生は、それをゼミ生と共有してお互いが刺激になるようにゼミ環境を整えていきましょう!

3年生前期:様々な活動への参加、活動の創造
【ゴール】自分の関心や問題意識や問いを見つけ、言語化する。
【活 動】前半では、メディア表現(映像制作など)、ICTを活用した海外との異文化協働、対話セッション、ワークショップ参加など、自分たちの興味関心、問題意識に基づいてプロジェクトをたてます。自分のやりたいこと実現することの環境を自ら創りだします。後半ではプロジェクトを通して、研究したい問いを文献を読みながら深めていきます。

これらの活動は、オープンキャンパスにて発表します。また、研究を行なったグループは国内外の学会などで学生セッションで発表します。

また、国際協力に関心のある学生は、夏に海外フィールドワークに参加することができます。2019年度は夏はフィリピン、春はインド(または別の国)を予定しています。

3年生後期:自分の問題意識や目的意識に沿った文献の輪読(文献)
【ゴール】プロジェクト活動を通して問いを作り、文献を読みながらその理解を深めていく。
【活 動】プロジェクト活動を通して問いを生成し、それに関する文献を発表し、そのテーマについて深めていきます。人数が多い場合は、グループに分かれて文献研究をすることもあります。同時に研究方法(特に質的な研究手法)についても実践的に学びます。

研究方法論についての輪読会の様子(2018年10月10日)

研究方法を学ぶ様子(2018年11月21日)
個人研究グループのうち、インタビュー手法を使うグループでは、グループでインタビューの方法論について輪読し、実際にインタビューをしてそれを分析、考察、先行研究と比較した議論という流れを経験します。方法論を学びながら、自分の研究を計画します。

4年生前期:自分の問題意識や目的意識に関する研究発表
【ゴール】個人の研究発表
【活 動】4年生はグループというよりむしろ個人で研究発表をしていきます。研究に至る背景、目的、方法までを執筆します。同時にデータ収集と分析を行います。

4年生後期:論文執筆、メディア制作
【ゴール】全員が、卒業論文または映像制作にむけて取り組みます。

(Open Campus用にジェシクを中心に制作したゼミ紹介ポスター)

<学生主体のプロジェクト活動>
ゼミの3年生春は、国際日本学実践科目C&Dで実施してきたように学生たち自身がプロジェクトを立ち上げ、企画、開発、実施、評価をしていきます。国際日本学実践科目C&Dの授業を閉講し、ここでの実践をゼミで長期的かつ発展的に取り組むことになりました。

過去の取り組みはこちら→http://ictedu.org/m-collabo/

【ゼミのねらい】

ゼミのねらいは、人や社会に変化を生み出せる学習環境のデザイナーとなることです。人や社会に変化を生み出すためには「越境的対話」がそのひとつの鍵となります。社会はますますグローバル化・情報化し、人は簡単に多様な文化を越境するようになりましたが、越境しても越境的対話は簡単には起こりません。同じ場所に住んでいても「私は私」「あなたはあなた」という境界を引いてしまうことがあります。多くの場合、人は「いつもどおり」の「コンフォートゾーン」を超えたり、変化させたりすることになんらかの不安を感じます。しかし、越境によって生じる不安やコンフリクトは、「今の自分(社会)」を超えて「今はないが将来なりうる自分(社会)」の変化のリソースになります。そのためには、今までとは(ちょっと)違う「新しい会話」をはじめることが必要です。岸ゼミでは、そういった人や社会に変化を引き起こす「新しい会話を生み出す」「活動(環境/場)づくり」に取り組んでいます。

【ゼミの進め方】

岸ゼミでは、「新しい活動を生み出すこと」を軸として取り組んでいます。活動は、社会的、歴史的、内省的、創造的、想像的、協働的、発達的な人間の営為です。新しい活動を生み出す際には、自分が何に関心があるのか、何に問題意識があるのか(=社会的、歴史的)を探り、言語化していきます(=内省的)。言語化したものを活動にするためには、「何がわかるようになりたいのか」「何ができるようになりたいのか」「どういう自分になりたいのか」をイメージ(=想像的)し、それができる環境を自分たち自身で生み出していきます(=創造的)。その環境は、人に力を借りたり、力を貸したりしながら作っていきます(=協働的)。そうしてできた環境は、誰もが「頭一つ分の背伸び(a head taller)」できる領域(zone)となります(=発達的)。活動を生み出すというプロセスの中で、ゼミ生が、常に問い(何を学びたいのか、どういう自分になりたいのか)を見つけ出し、それを追求し、学術的にそして実践的に取り組みます。

【本学の”日本と世界をつなぐ力”をゼミでどう体現するのか?】

岸ゼミの学生たちはなんらかの形で「つなぐ」役割を担っています。たとえば、オンライン上で異文化間協働を支援する松木さんは「日本とシリアの高校生たち」をつなぎ、福田さんは「日本ーミャンマーーインドーインドネシアの学生たち」をつなぎます。ミュージカル映像を通した異文化理解教材制作に取り組む明日香は、「今の私」と「今の私には遠く感じる世界」をつなぎます。しかし、つなごうとしても、簡単につながるものではありません。双方が有機的につながるためには、つなぎ役(mediator)の役割がとても重要になります。

つなぎ役は、(1)誰よりも双方のことをよく知り、(2)相手のタレント(才能)を見出しそれを引き出し、(3)有機的につながるように、(4)活動をデザインする必要があります。そのためには実際に経験することが重要です。しかし、経験するだけではありません。経験を通し、疑問や問題意識を明確にし、それを「研究の問い」とし、その問いを軸として専門知識を関連づけたり、文献調査をしたりして理解を深め、さらにその知見を実践に活用していきます。

岸ゼミでは、学生たちが、活動を生み出し実践知を高めると同時に、活動を通して得た「問い」を軸としてて学生たちが「知りたい」「学びたい」「わかりたい」と思った疑問やモヤモヤを研究問いにして、卒業研究を進めます。

【メッセージ】

これまで私たちは「ゲット」を中心とした教育を受けてきました。知識を得る、単位をとる、良い成績をとる、順位を得る、インターンやボランティアの経験を持つ、賞を得る、などです。多く得れば得るほど、有能であるとされ、優遇されてきました。ゲットすることに重点をおいてしますと「AよりBのほうが得る事が多そうだ」という思考や行動をしてしまいます。そして、比較し、区別する習慣ができてしまいます。

岸ゼミでは、「ギブ」を重視します。ギブしあえば、より良い学習環境ができます。暖かい学習のコミュニティが生まれます。暖かいコミュニティは、多く新しい活動を生み出す土壌です。活動を生み出す喜びは、学習・発達の原動力です。また、上述したような多くの学びを含みます。より良い学習環境で人は豊かに育ちます。ゼミ生には、人に関心を持ち、人と共に社会を作っていくという意識を持って研究と実践を同時に取り組んでもらいたいと思います。

【高校生へのメッセージ】

学ぶということはプレイフルなことです。プレイフルに学ぶということは、創造的で、協働的で、発達的です。与えられたものを受け取る学びだけではなく、10年後、30年後になりたい自分や社会をイメージして、それに近づけるように人や社会に変化を生み出す主体として、大学でその実践と理論を学びましょう!