2015年度UNHCR難民映画祭映画制作

シリアの声を届ける映像プロジェクト

2015年3月から、シリア支援をしているヨルダンの青年ら(シリア人、パレスチナ人、イラク人など)と協働で、シリアの難民支援の環をひろげることを目的としたプロジェクトに取り組んでいる。

日本にはシリアをはじめ中東の問題のために何かしたいと思っている人たちが多くいる。私もその一人だった。しかし、何かしたいと思っても何をすればいいか、何が必要とされているかの情報が十分にない。日本の友人たちに「何かできることがあったら言ってね」といわれるけれど、なかなかそれをうまく伝えられずにいた。

一方、ヨルダンでは、シリア難民支援をしているボランティアの人たちは、様々な支援を必要としている。

ひとつは金銭的な支援。彼らは自分たちの時間やお金を費やしてボランティア活動をしている。たとえば、ある女性は、精神的なトラウマや学校にいくための高額な費用のため学校にいけなくなったシリアの子どもたちに、自らの財産を使って学校をひらき、教育の場を提供している。最初の頃は、みんな持っているものを持ち合わせて、みんなで助け合っていこう活動をはじめてきたが、長引く内戦、ふえ続ける難民に対応していくことが難しくなってきている。一緒に活動している人の中には、「私の時間や経験を使ってシリア難民を助けたい。ボランティアで活動するけど、そこにいくための交通費を私はまかなうことができない。」という悩みがある。日本には、大きな額の金銭的支援はできなくても、彼がボランティア活動をするための交通費なら出せるという人がいるかもしれない。

また、経験的な支援も必要とされている。一緒に活動しているラハフは、「精神的なトラウマを持った子どもたちにどう教えたら良いのか。これまでのシリアの教育のように、教師中心の授業方法では、授業がうまくいかない」と悩みを持っていた。これに応えられる日本の教育関係者は多くいる。また、負傷したシリア人女性たちに生きる希望と自ら生計を立てられるように支援しているバトゥールは、「どうすれば、売れる商品が作れるのか」と悩んでいる。シリア支援をしたいといってくれた友人の中に、デザイナーさんは確かいたはず。

さらに、物資の支援も必要とされている。学校では文具が不足している。幼稚園では子どもたちが安全に遊べる教具が不足している。日本には、使わなくなった文具やぬいぐるみやおもちゃなど使っていないものがあるのではないでしょうか。そういった現地のニーズにあった物資の支援も求められている。

こういう現地でのニーズに合わせた形でシリア難民支援の環を広げようと、大学教員、学生、企業、NGO/NPOなど様々な背景や経験を持った人が集まり、プロジェクトを立ち上げました。

たとえば、
・プロジェクトのコーディネータで特にヨルダンとの連携をしてくれているまさ@サダーカ。
・現地での取材・撮影を担当してくれ、さらに映像編集の中心的役割を担ってくれているさおりさん@サダーカ。
・プロジェクトのための資金収集のためにクラウドファンディングの窓口をしてくれ、さらに全体の進捗状況のモニタリングをしているゆきちゃん。
・活動に必要なすべての技術的支援をしてくれている今野先生@明星大。
・ウェブ制作を担当してくれてる千穂@NPO FiLC。
・映像の構成や質向上のアドバイザーになってくれているはるえ@映画プロデューサー。
・イベントや広報の協力、また映像制作を担当してくれている学生のみさこちゃん@東京外国語大学、田中君&茂木さん@東京大学、今関さん@学生団体S.A.L.、山口さん@ICU、山口君@明治大学、浅井さん@明治学院大学
・シリアの情報提供、アラビア語翻訳をしてくれているラドワン。
・映像編集の技術的支援をしてくれている古川さん@JICA

そして私の担当は、日本側のプロジェクトのコーディネートと、インターネットを活用して日本とヨルダンをつないで協働で映像制作をするための学習環境を整えること。海外との交流学習をずっと実践、研究してきたので、このような問題解決に向けて研究の知見を活用できるのはとても嬉しい。

18日(月)は、ヨルダン側のメンバーに、インターネットを活用して協働で映像制作をする方法について説明し、ストーリーラインを考えたり、映像にインサートする写真や動画について話し合ったりした。

どういう映像ができるかが楽しみだし、この映像を通して支援の環が広がればとても嬉しい。自分の研究が、社会問題解決につながるきっかけになると思うと、すごくやる気がでてくるし、もっともっと研究をして、もっともっと力をつけなくちゃって思う。

【プロジェクトのメンバー】

岸磨貴子(大学教員)平成14年から16年までシリア(UNRWA)でボランティアとして活動。帰国後、UNRWAと連携して、パレスチナ難民の教育支援の実践および研究を2011年まで実施(内戦が始まるまで)。現在、日本とヨルダンの若者をつなげ、シリア難民支援のための連携を実現するため、本プロジェクトのデザインを行う。具体的には、ヨルダンと日本間でインターネットを通して協働で映像できるように技術的な支援を行っている。

田村雅文(JICA職員、サダーカ代表)

佐藤友紀(会社員)

今野貴之(大学教員)

藤井沙織:映像制作

映像のクオリティ管理をしてくれる映画プロデューサー(三宅 はるえさん)、

中山実佐子(東京外国語大学学生)

茂木文華さん(東京大学学生)

山口将邦(明治大学学生)

南雲 千波(明治学院大学学生)

今関亜矢乃

斉藤亮平

浅井美佳(明治学院大学学生)

ファーディー

ラドワン

【プロジェクトの流れ】

2014年2月14日
岸・田村(JICA職員およびシリア難民を支援するサダーカ代表)はヨルダンと日本の若者が連携して活動ができる可能性をさぐるため、ワークショップを実施。ヨルダン在住のシリア難民支援をしている17の団体から30人の参加者(イラク人,シリア人、ヨルダン人、パレスチナ人)が参加。その際、シリア難民支援のためにヨルダンに渡航していた佐藤友紀さんをはじめ3名の日本人および現地で活動する青年海外協力隊員も参加。その後、意気投合し、プロジェクトしての基盤をこのメンバーで創り出していくこととなる。

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 2014年4月〜

ヨルダン側で提案されたプロジェクトを実現するために、ヨルダンのワークショップで一緒になった岸、佐藤友紀さん、中山美佐子さん、今野貴之さんと議論を重ね、そのうちのひとつ「映像制作」に焦点を絞って進めることに決定。この案は、イラク人のアブダッラーという青年の提案だった。

2014年4月
ヨルダン側で提案されたプロジェクトを実現するために、ヨルダンのワークショップで一緒になった佐藤友紀さん(会社員)、中山実佐子さん(東京外国語大学学生)、今野貴之さん(大学教員)と議論を重ね、そのうちのひとつ「映像制作」に焦点を絞って進めることに決定。この案は、イラク人のアブダッラーという青年の提案だった。

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映像制作をするということで、映像制作を専門とする藤井沙織さん(映像プロデューサー)が参加。また、三宅はるえさん(映画プロデューサー)もアドバイザーとして参加。

2014年4月 藤井沙織、ヨルダンにて第1回目映像撮影

2014年4月 第1回目会議
SALという団体でシリア難民の現状を雑誌を通して伝えようとしていた今関さんが、映像制作の企画を知り第1回目のミーティング(@明治大学)に参加。その後、プロジェクトに参加。

また、中東学生会議という団体が、シリア問題について、学生たちが考え、情報を発信し、支援の環を広げる活動をしたいとサダーカの田村さんに連絡があり、それがきっかけで、その団体の代表、田中さん(東京大学)、そしてメンバーの茂木さん(東京大学)、山口さん(ICU)がプロジェクトのメンバーとして参加。

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2014年6月

映像制作のための会議@明治大学。
浅井美佳(明治学院大学学生)さん、山口将邦さん(明治大学)、古川浩一さん(JICA名古屋)など新たにメンバーが参加。

2014年6月21日
シリア難民支援の環のイベント実施。プロジェクトのメンバーが中心になって企画、運営。
http://www.hric.jp/information/event/1673/


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2014年7月

映像制作の資金を集めるために、Ready forを立ち上げる。佐藤友紀さん(会社員)を代表として映像制作に必要なお金を集める。
https://readyfor.jp/projects/syria_refugee_film
その際、イブラワハイト、NPO FiLCなどの協力を受ける。

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2014年7月〜

メンバーの多くが映像編集の経験がなかったため、藤井沙織さんを中心に映像編集の講習会などを開き、ひとりひとりが編集に携われるようになる。

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2014年8月 岸:今野がヨルダンへ渡航

田村氏とフォローアップのワークショッップを実施。

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同時に、田村を中心に、ヨルダン側の体制を整える。

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2014年9月 Ready forが成立。

資金を調達でき、本格的に活動を開始(〜現在に至る)

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2014年11月 佐藤と藤井がヨルダンへ渡航
追加インタビュー

2014年12月 映像編集@明星大学

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2015年1月 第一ドラフトの完成

【公開予定の映像】

①シリアの平和を発信するサダーカ代表、田村さんと協力者の南雲さん、アブターリク

②女性たちのための職業訓練を行うバトゥールさん

③イラク人としてシリア難民に寄り添う、アブダッラー

④心理ケアを通じて子供たちに明るい未来を、バーナさん

⑤シリアの故郷にヨルダンから支援を ユーヌスさん

⑥負傷者を病院に搬送する助けをしているイマードさん

⑦難民として支援を受ける事が出来ない子どもに教育を提供するアハマドさん

⑧独自の工夫で子供たちに教育の機会を作るラハフ