「シリアってどんな国なの?」と先日友人にたずねられました。すぐに心に思い浮かんだのは、「感謝」「尊敬」「愛情」の言葉でした。
私は、10年以上にわたってシリアと関わってきました。いつ行っても、シリアのどの地域であっても言葉を交わしお互いが好きだな、と思えば、家族のように迎え入れてくれたシリア人。
彼らには、どれほど多くの生きることの美しさに気づかせてもらったことか。人々は、日々のすべてに「感謝」し、互いに「尊敬」しあい、「愛情」に溢れて生活をしていました。
しかし、今のシリアのイメージは、「感謝」「尊敬」「愛情」の言葉からほど遠いものです。
シリアの混乱からもう5年。長引く混乱、増え続ける難民、生活や歴史の破壊、戦争、テロ、空爆といった言葉がメディアから流れてきます。私たちはその言葉からシリアを見てしまいます。しかし、難民となっても、彼らの言葉から「感謝」「尊敬」「愛情」が消えてしまったわけではありません。
彼らの言葉やストーリーを聞いてみたいとは思いませんか?さぁ、この映画を通して、一緒に聞いてみましょう。
シリア人ひとりひとりの声を、物語を。
(文責:明治大学 国際日本学部 岸磨貴子)
「シリア難民の数、約400万人・・・」ではなく、400万もの「シリア人ひとりひとりのストーリー(物語)」を伝えたい・・
そんな思いで映画制作に取り組みました。もちろん、私たちが伝えられるストーリーはごく一部だけです。
しかし、できるだけ多様なストーリを届けることが重要だと思いました。なぜなら、ストーリーの語り手、ストーリーの届け手によって、「見える」現実は違ってくるからです。本映画は、あまり伝えられることのなかったシリア人のストーリーを届けます。
本映画制作関係者は、映画監督やドキュメンタリストではなく、学生、社会人、NPO職員、大学教員です。共通点は、なんらかの形でシリア関わり、シリア人の声を聞いてきたこと、そして、 それがあまりにも映画やニュースで流れてくるものとは違うことに対して違和感や葛藤を持ったことです。だからこそ、自分たちが聞いたストーリーを届けていこうと映画制作に取り組みました。
この上映会では、「伝えること」「伝わること」を、映画を通してみなさんと一緒に考えたいと思います。
1984年広島育ち。混乱の中にあったシリアに興味を持ち、2013年、ヨルダンで難民として暮らすシリアの方々に出会う。彼らの温かさに触れ、以来、彼ら自身の人生や想いを残していきたいと何度かヨルダンへ訪れる。
1967年、大阪府生まれ。1998年からパレスチナ問題の取材。他に、シリア内戦、コソボ、レバノン、アフガニスタン、イラク、ヨルダン、トルコ、ウクライナなどにおいて、紛争や難民問題を取材。国内では在日コリアン、東日本大震災や原発被害を取材。
THE JAPAN PRESS
http://www.j-press.co.jp/
AAR シリア難民支援統括 2012 年よりAAR でトルコにおけるシリア難民支援を担当。年間の半分をトルコで活動し、日本ではNHK 総合「ニュース深読み」、BS 朝日「いま世界は」などに出演、シリア難民の窮状を伝え続けている。
AAR Japan[難民を助ける会]
http://www.aarjapan.gr.jp/
NPO FiLCでは、シリア内戦前の日常に関する写真展を大学や国際協力イベントで実施してきました。展示するのは、1枚のパネルに関連する写真を複数組み合わせた「組写真」です。一枚のパネルから本映画上映の目的である「シリア人のストーリー」を想像できると思います。
WEB SITE「知っていますか?シリアに日本語を学ぶ学生達がいることを」 シリアには日本語を教えている大学がダマスカスとアレッポにあり、日本人教師が国外退去した現在も、多くの学生が日本語を学び続けています。そんな彼らが撮った「日常」の写真を展示します。「いつか平和は来る。」そう信じ学び続ける学生達、彼らの見ている「今の」美しいシリアの姿を是非ご覧ください。
WEB SITE紛争前のシリアという国を少しでも多くの方々に知ってもらいたい!そんな想いから始めた写真展です。シリアを旅した人、シリアに住んでいた人などに声をかけ、それぞれ大切なシリアで撮った一枚と共に、平和へのメッセージを添えてもらいました。現在48名の方に参加頂いております。
WEB SITE『ARAB ーBedouin of the Syrian Desertー』
美しいシリア沙漠で心豊かに平和に満ちた暮らしをしてるベドウィン。ベドウィンとはアラブ系遊牧民。元来『アラブ』という言葉はシリア沙漠やアラビア半島のベドウィンを指し、彼らも自らを『アラブ』としか呼ばずその事を誇りに思っています。17年間そんな彼らの日常を撮影し続けています。
受付開始
映画上映
UNHCR上映映画「目を閉じれば、いつもそこに ~故郷・私が愛したシリア~」
写真展
協力:NPO法人FiLC / 東京外国語大学 / みんなで作るシリア展 / 𠮷竹めぐみ写真展
制作関係者(*印)とのトーク
藤原亮司(ジャパンプレス)/
藤井沙織*(本映画監督)/
佐藤友紀*(本映画プロデューサ)/ 今関 亜矢乃*(本映画広報担当) /
田中 雅人*(東京大学学生)/
石原 亜里沙*(筑波大学学生)
/ ファシリテータ:岸磨貴子*
(本学教員・本映画プロデューサ) /
北川史歩子(NPO法人ぐーぐーらいぶ)
シリア人の声を聞いて
ファーディ*(在日シリア人) /
ラドワン, A*(映画の登場人物) /
田村 雅文*(シリア支援団体サダーカ代表) /
斉藤 亮平*(元シリアJOCV) /
ファシリテータ:岸磨貴子*・今野貴之*(明星大学教員)
シリア危機5年:シリア難民の今
報告:AAR Japan[難民を助ける会]景平義文
■JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線/御茶ノ水駅 下車徒歩約3分
■東京メトロ千代田線/新御茶ノ水駅 下車徒歩約5分
■都営地下鉄三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線神保町駅下車徒歩約5分
<お問い合わせ>
明治大学 国際日本学部
特任准教授 岸磨貴子 m_kishi@meiji.ac.jp