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シンキング・ツールを使った勉強方法 NHKで紹介

私が取り組んでいる研究活動のひとつ「高次思考力育成のためのシンキング・ツールの活用」がNHKで取り上げられるようになった。これは、本活動の代表者である黒上先生(関西大学)が関わっている。この番組では、イメージマップやベン図などを使った高校での実践が紹介されている。これまで初等教育を中心に進めてきたが,受験やテストのための方略として紹介されたのが興味深い。

テストの花道(月曜午後6時55分から NHK)

https://cgi2.nhk.or.jp/hanamichi-nclub/index.cgi

【KUFS】日本語教師養成プロジェクト ミーティング

今日は、外大とハワイ(KCC)間で実施している日本語教師養成プロジェクトに関するミーティングを持った。参加してくれている2人の学生が教育実習だったため、3週間ほど実践がストップしていた。教育実習先でもKCCの学生と実践をしようと心がけてくれていたのだが、回線が悪く、うまく接続できなかった(代わりに私が、交流したことがある)。本プロジェクとが始まっても同じような問題はでてくると思う。そのため、1対1の交流とするのではなく、2対2くらいにして、片方が都合が悪くなれば、もう片方の学生が対応するといった相互補完的な体制を整える必要がある。本プロジェクトの向けて、準備も進めていかなければならない。

【課題研究】教師の学習共同体とCSCL/学習環境のデザイン

毎週火曜日は、6時から9時過ぎまで課題研究がある。今週は、「教師の学習共同体としてのCSCL観光の開発と質的評価」(中原ら 日本教育工学会論文誌24(3))と、「学習環境のデザインと原則」(大島ら 教授・学習過程論:学習科学の展開 11章)について議論した。

前者のテーマについては、私も大変関心があり、Professional Development in Educationという雑誌をチェックして、よく読んでいる。教師の学びを個人の取り組みとして捉えるのではなく、集団的にとらえることで、いかに、集団的に学ぶ環境を整えることができるか、というものである。中原先生の研究では、その方法としてCSCLを活用している。私もミャンマーやシリアで、教員同士の学び合いを促す環境デザインについて実践、研究を行っているが、教員同士の学び合いを促すためには、かなり教師の「意欲」や協働で学ぶことへの「意味付け」が関連していると思う。木原先生が指摘するように、すべての教員が自分の授業を完全しようと考えているわけでもなく、また、授業研究など集団的に学ぶことに関心を持っているわけではない。中原先生の研究では、おそらくとても意欲の高い先生や授業改善に関心のある教員が集まっているので、CSCLつまりオンライン上での学び合いも「支援」ガは入れば、なんとか可能になるのだと思う。しかし、対面での学び合いも難しいのに、教員同士の学び合いをオンラインで実施していくためには、解決すべき課題が多くあるだろう。一方、オンラインだからこそ、参加できるというメリットもあると思う。対面では発言しにくく、議論に参加できない学生が、オンラインの議論では、積極的に参加していたことについては研究でも報告されている。オンラインの学びと対面の学習を比較するのではなく、オンラインならではの学習理論を作っていくことが大事だろう。すでにウェンガーらがDigital Habitatで述べるように、Technical Stwert(だったっけ?)などの存在の重要性を指摘しているように、この分野での研究は今後進んでいくだろうし、私もキャッチアップ、および貢献していきたい。

後者のテーマについては、Bransfordの学習環境の一般的なデザイン原則を持ってきて、どのように授業をデザインする事が大事かということについてだった。「学習環境のデザイン」ノ定義については、まだ、多くの人が持論を提示している段階だと思う。上野先生は、学習環境のデザインを、リソースへのアクセスをデザインする事であると述べ、望月先生は、金西先生は、学習者間のインタラクションを支援する道具の配置という。学習環境のデザインについては、それぞれのアプローチによってずいぶん異なるようだが、一度整理していく必要がある。

参考文献 木原俊行(2006)授業研究と教師の成長、日本文教出版

【KUFS】ルーブリックを用いた相互評価

私が担当している授業のひとつ「情報技術の実践」の今週の授業では、学生が作ったプレゼンを発表してもらい、視聴者はそれに対して評価するという内容だった。評価の際には、構成、内容、情報伝達力、情報のまとめ方、発表の5つの観点から評価させている。何を持って良しとするのか、という基準を示すためにルーブリックを配布した。ルーブリックを使うことによって、良いプレゼンとは何か、ということを、発表する側にも、評価する側にも意識してもらいたかったからである。

しかしながら、相互評価の結果をみると、かなりバラツキがあることがわかる。たとえば、構成の項目では、下記のようにルーブリックを設定したが、SからBとバラツキが多い。つまり、何を持って、裏付けのある資料というのか、何をもって明確な結論というのか、が、学生との間で共有されていなかったといえる。この問題を解決するためには、まずモデルとなるプレゼンをみせて、それぞれの基準がどのレベルを示すか、ということを事前に示す工夫が必要であると思った。

S(非常に良い)「序論、本論、結論が明確で、裏づけのある資料を用意している。明確な結論がでている。」

A(良い) 「序論、本論、結論があり、十分とはいえないが、裏付けのある資料がある。」

B(改善が必要) 「序論、本論、結論がなく、脈略のない流れ。裏付けのある資料もなく、結論が不明瞭。」

【KUFS】映像制作を通した異文化理解

私が担当している授業のひとつ「映像メディアの制作」では、単にビデオ制作の技術を学ばせるのではなく、次に2つを重視しちえる。ひとつは、メディアリテラシーの獲得である。映像を制作するプロセスの中で、テーマを決め、情報を集め、情報を選択し、情報をまとめ、視聴者に分かりやすく表現することで、情報をどのように「編集」するのか、また我々が触れるニュースや番組がどのように「編集」されているかを確認させる。もうひとつは、異文化理解のの促進である。テーマを「違いの背景を考える(違いの違いを考える)」とすることで、様々な違い(世代間、習慣間、国際間、男女間など違い)が何故あるのか、ということを社会的、文化的、歴史的な視点から考察させている。グローバル化する中で、我々は文化間の違いにたびたび直面する。特に外大生は海外に出る事が多いので、異文化にふれあう事も多い。違いに触れた時、何故違うんだろう?とひとクッションをおいて考えるようになるだけで、異文化に対する適応力は変わるだろう。

今週の授業では、「国際間の常識の違い」をテーマにしたグループが撮影をスタートさせた。撮影は、私の個人研究室で行ったので、その様子をみていた。ドイツとアンゴラから留学している学生2人と日本人学生2人の4人に、グループの一人が司会役として入り、5人で対談するという設定だ。欲しかった情報が手に入ったかどうかは、分からないが、面白い内容を聞くことができたので、これをどう料理して、「国際間の常識の違い」を表現するかがこのグループの課題だろう。作品が楽しみだ。

【KUFS】ビデオ教材制作の支援

授業で映像を使ってみたいと言われる先生も少なくない。今は、手軽な価格のソフトで簡単に編集ができるようになった。しかし、編集できる形式のファイルにするのが結構手間だったりする。民生機のカメラは、カメラで編集できるような機能はついているが、パソコンにデータをキャプチャーして編集することまで対応していないものがあり、そういうカメラに限って低価格で販売されたりするため、多くの人がそのタイプのカメラを持っている。今回相談にこられた先生も、直接ビデオカメラからパソコンにデータをキャプチャーできないタイプのものだった。(専用のソフトウェアをインストールすると可能みたいだが、大学のパソコンは、自由にソフトをインストールできない。)そのため、手間がかかったが、一度miniDVDにダビングして、そこから、キャプチャーするという作業を行った。1時間の映像に、ダビング1時間、キャプチャー1時間、合計2時間かかった。

【KUFS】日米日本語交流実践 記録のためのソフトウェア

京都外大で実施しているハワイとの日本語教育のための交流実践において、以前課題となっていたことの1つが、「スカイプでの交流実践の記録」。スカイプでの指導が終わった後に、自分のパフォーマンスを自己評価するために、日本語学習者とのコミュニケーションを録画したいという要望が実践者の学生からでていた。いろいろ調べたところ、次のようなソフトが利用可能であるそうだ。

(1)Bandicom    http://www.gomplayer.jp/bandicam/

(2)Jing  http://www.jingproject.com/

(3)TAPUR  http://www.vector.co.jp/soft/winnt/net/se373363.html

以上の3つを試すと同時に、その他のツールも検索中。

学習コミュニティの活性化を促すWeb2.0の活用

5月から、関西大学総合情報学研究科の修士学生3名と共同で、「学習コミュニティの活性化を促すWEB2.0の活用」についての研究を実施している。日曜日は、彼らとインタビューデータを分析した。分析については、かなり前から進めてきたが,GTAを用いての分析なので、とにかく時間がかかる。カテゴリーまではなんとか前回までに終わらせることができたが、カテゴリー間のプロパティとディメンジョンを見る作業で、カテゴリーを見直すことも必要になった。4時間の分析作業の結果、関係図を完成させることもでき、なんとかアウトプットは出せそうである。

分析の結果については、7月実施の日本教育工学会で発表する。

論文構成ワークショップ 合同プロジェクト会議

日曜日は、関西大学で論文作成ワークショップが実施された。関西大学には、学校、病院、福祉施設、企業、NGO、国際機関と連携した研究プロジェクトが多数ある。しかしながら、そこに参加する、学部生、院生は、研究の視点を見つけることができず、研究プロジェクトでの活動だけに一生懸命になってしまっているという問題もある。そこで、研究の視点をもって、研究プロジェクトで活動してもらうことを目的として,論文作成ワークショップが実施されたのである。

ワークショップの主催者は、関西大学総合情報学部の修士課程の学生(1年生)。博士課程の学生の指導を受けて、研修の準備をした。私は、ICTを活用した国際ボランティアとの交流学習プロジェクトのファシリテータをまかされた。学部3年生(1名)、4年生(3名)、修士1年生(2名)が参加していた。研究テーマを見つける作業としてブレインストーミングをし、そこから、先行研究からみてどのテーマが研究するに適切か、研究の意義、研究方法(データ取得の可能性)について議論し、ひとつ研究テーマを出した。このグループから出した研究テーマは、ICTを活用した国際交流学習における教師の支援:学習者の自発的学習を促進するための足場掛け になった。学部生の意見や経験談はなかなかユニークで、私が想像もしていなかった意見などを出してくれるので、非常に面白かった。

このように異学年との交流を持ちながら、自分が将来どう研究していくのか、どうプロジェクトと関わっていけるのかということを考えるきっかけにもなったようなので、こういう場は非常に有意義であると思った。

米国の研究者とテレビ会議を通した英語論文校正

現在、米国の研究者Mさんに、国際学会に出す論文の校正を受けている。これまでは、英語論文校正は、業者に出していたが、値段が高い上に、自分の主張と全然違う内容になってしまうこともある。それでも、英語の文法ミスや単語ミスは修正してもらえるので、国際学会雑誌への投稿の際は、業者に頼んでいた。しかし、今回は私の院の指導教官にMさんを紹介してもらい、非常に丁寧な校正をいただくことができた。スカイプとメールを通して、ひとつひとつ確認していく。たとえば、日本語では、「社会的、文化的な違いから」という言葉を論文の中でよく使われたりするが、これを英語論文にすると、何が「社会的か」「文化的か」その違いは何か、ということが不明確になる。そのため、その用語を使う背景を説明しなくてはならない。日本語では、当たり前のように使う表現や単語でも、英語論文にする場合にはそのまま訳すだけでは不十分であるということは今回のインタラクションで多く学ぶことができた。

論文は、英語も日本語も、誰かに校正してもらうのではなく、インタラクションを通して再構成していくことが重要だということを今回改めて思った。

Mさんから非常に参考になるAPAスタイルのURLを教えてもらった。参考までに。

http://owl.english.purdue.edu/owl/resource/560/01/

小学3年生 ICTを活用したフィリピンとの交流

今日は、関西大学初等部で、ICTを活用したフィリピンとの交流学習を実施した。小学3年生の児童が、自分の名前や趣味を英語で自己紹介する。そして、フィリピンの児童の自己紹介を熱心に耳を傾ける。英語の授業で習った事がある単語がでてくると、「あ、9歳っていってる!」「今、好きっていったよね?」と嬉しそうな表情をしていた。自己紹介の後は、それぞれの食文化を紹介するということで、日本側はおにぎり、納豆、揚豆腐、のりなどを見せながら、「What is this? 」と聞いていく。相手の答えが帰ってきても単語がわからなければ、ボランティアで入っていた外国語学部の学生に聞いたり、知っている単語があると、すぐに英語で答えたり、とても興奮した様子だった。フィリピン側は、焼きバナナやココナッツジュース、パフェなどを見せて、「What is this? 」と質問する。日本の児童は、どんどん惹き付けられ、声を大きくして、答えようとする。ココナッツジュースを見た時は、全員が大声で「it is water!!!」と叫んだ時は、もう日本語→英語と翻訳ではなく、頭で英語で考えているな、と思った。答えがわかっても英語で答えられない時は、むずむずしながら、ボランティアの学生に助けを求める。見せられたものがわからない時は、「hints please!」といって自分から情報を得ようとする。はじめから最後まで様子をみていて、はじめはボランティアの学生に便りながら会話していたが、次第に、自分たちでわからなくても情報を得たり、答えようとしている様子がとても印象的だった。

交流が終わってから、フィリピンの児童に掲示板でメッセージを送るという活動を行った。そこでは、児童は英語でメッセージを書く。小学3年生で、英語での書き方なんて全然わからない。それでも、相手に伝えるためには英語ではなければならない、ということで、ボランティアの学生に支援してもらいながら、なんとか自分の思いを英語で伝えることができた。知っている単語や文法では全然自分の言いたい事が表現できないが、これがいいたい!という気持ちはあるので、なんとか支援してもらって伝えようとする児童の様子をみて、第二言語習得において、相手意識や関係性が学習動機になるということを再確認できた。

生涯学習におけるeラーニング

今日は、eラーニングを活用した生涯学習について研究しているShownの研究について議論した。eラーニングは、時間・場所の制約がないため、働く社会人により簡単に学習機会を提供することができる。eラーニングは、企業内教育や大学でもすでに多く実施されている(熊本大学や日本福祉大学はeラーニングで単位がとれ、修士号をとれるらしい)。企業内教育や大学でのeラーニングは、個々の学習者のペースで学習を進めることができる(自律的学習が可能)という点で利点がある。確かに、個々の学習者のペースで学習が進めていけるという利点もあるが、「いつでも」「どこでも」というインターネット学習のメリットを最大限に生かせるのが生涯学習ではないだろうか。生涯学習におけるeラーニングの活用は、「e-Japan重点計画2004」にも示されている。そこでは、社会人等がICTを活用した遠隔教育により、継続的に知識の向上ができるよう にすることが求められている。実際に京都や富山などでは、産官学が連携して生涯学習のためのeラーニングが開発、運営されているらしい。非常に面白い試みだと思う。このフィールドで研究するためには、どういう視点が必要か。これについて議論したが、まだ答えは見つからない。先行研究をあたりながらじっくり考えたい。
、「市民によるガザ自給計画」

【パレスチナ問題】ガザにおける自給計画に関する講演

パレスチナ子どものキャンペーンの後援のもと、「市民によるガザ自給計画」というテーマでガザから来日したイブラヒム氏による講演があった。私も実は、パレスチナ子どものキャンペーンのNGOのボランティアスタッフである。この講演は、農業開発協会のアハマド氏が講演するはずだったが、ガザから出国できず、代わりに出国できたイブラヒムが講演をしたのである。

イスラエルによるガザへの侵攻は、2008年からニュースで多く報道されているので知っている人は少なくはないと思うが、その詳細については、ほとんど伝えられてこなかった。現地の人の話を聞くことで、今ガザで何が起こっているのか、人々がどのような生活を強いられているかがイメージできた。私自身2006年にガザに赴き、聾唖学校の教材開発にかかわったことがある。それは、ちょうどガザからイスラエルの入植者撤退の年だった。あの時は、ガザからユダヤ人が撤退するということで、ガザでは、お祭り騒ぎになっていたが、その後、ガザへの侵攻が激化し、1500人以上の人が命を失っている。今、ガザは、「屋根のない刑務所」と言われているそうだ。攻撃されても逃げ場がない。逃げる場所がなく、あきらめるしかない。攻撃がない間も、ライフラインが止められており、電気がほとんど共有されず、一日8時から10時間の停電があるそうだ。エジプトからアラブ諸国からの支援が少しずつ入っているが、それでも必要最低限の生活さえできない人が多数いる。

イブラヒム氏の怒りや悲しみを抑えながら話す姿をみて、いち日本人としてどうかかわっていけるかについて真剣に考えさせられた。この会では、イブラヒム氏以外に、私がガザに渡航した際、コーディネータをしてくれた中村さんも講演をした。彼は、大学生から今に至るまでずっとパレスチナ子どものキャンペーンのスタッフとしてガザで活動を続けている。このような友人がいることで、私自身非常に刺激になる。問題意識を常に持ちながら、自分にできることを尽力していきたい。

【KUFS】関心を喚起するマルチメディア教材

語学学習への関心を喚起するマルチメディア教材の開発を試みている。英語以外の語学に関心を持つようになったきっかけはなんだろうか。私の場合、スペイン語は、ピカソへの関心。ピカソの作品を見て、ピカソが生まれた国、スペインを歩いてみたい、ピカソが感じた世界を自分で感じてみたい、ということでスペイン語に触れるようになった。そして、実際にスペインに行った時、あまりにも人がフレンドリーで、友達がたくさんできたことから、彼らとコミュニケーションをとりたい!とスペイン語に没頭した。アラビア語に関しては、パレスチナへの関心。パレスチナ問題について取材をしたいという強い願望から、まずは現地の声を聞きたいとアラビア語を始めた。本格的にアラビア語を勉強したのは現地に行ってからだ。つまり、この2つの経験からもきっかけは、その国の文化(食、美術、ファッションなど)や社会問題への関心であったりするが、継続し、習得する契機は、その国ともっとかかわりたい、という強い思いだろう。外大についていえば、外大に入学すれば留学や授業でも外国からの先生と触れ合う機会が多いので、語学を学ぼうとする契機は準備されているが、じゃぁ、どの語学を学びたい?ということを知るきっかけはそれほどないと思う。そういうきっかけを提供できるようなマルチメディア教材を草案中である。完成が楽しみだ。

【KUFS】高等教育へのCMS、LSMの導入に関する課題

現在、ある教員から、学生の学習記録をウェブ上で管理がしたいので手伝ってほしいと依頼を受けた。学習記録をウェブ上で管理するツールとしては、Eポートフォリオ関連の研究でいくつか紹介されているが、そのほとんどがその大学、機関特有の者である事が多い。これは、個人情報やセキュリティの問題(ポートを開くとか)の面からも、大学が所有するシステムを使って記録するのが望ましいとされているからではないだろうか(推測)。そのため、個人の先生が、自分の授業だけ(しかも、学期のみ)で利用したいとなると、対応が困る。オープンソースもあるが、コンピュータに特に親しんでいない教員だとその管理が難しいという点もある。実際の授業で使うため、失敗したらどうしよう、とか、エラーがでたらどう対応しよう、とかいろんな不安要素はあると思う(実際私もはじめてREASを使った時は、教材研究にかなり時間を使った)。今後個別にこういう相談が来た場合、どのように対応するかについて,自分なりに対策をたてておかなければいけない。

【KUFS】授業設計 グループ活動のデザイン

如何にグループ活動を円滑に進めるか。これが授業のひとつの課題でもある。グループ活動に対して、「学習への不安の軽減」「多角的な意見による新しい発想の獲得」といった肯定的な側面がある一方、グループ活動に参加できない学生もいる。これを学生のパーソナルな能力と捉えるか、または、授業設計(文脈のデザイン)の問題とするかで対応方法は異なる。ビビアン・バー(2005)の著書に、心理学で、このような個人の心理をどう捉えるかについて記述がある。
**引用**人前で話すとかあたらしい人々に会うなどと考えただけで強い不安を経験する人もいる。心理学は、このような人々を病的に内気な性格を持っているとみなすか(パーソナリティ特性という見解)、あるいは社会相互作用のルールに関する基本的な理解の獲得に失敗していると見なす(社会スキルという見解)。しかし、(中略)社会的スキルがないとされる人は、社会的相互作用のルールについて非常によく理解しているが、自分が主張している役割の演技あるいは「有能な社会的演技者」の演技が他者にとって説得力がないと恐れているので、それらを実践できないのかもしれない(ビビアン・バー2005, p.96-97)**

以上のように捉えれば、私の授業において、多様な規範や価値が教員および学生間で共有されていないため、学生がどのように振る舞えばいいのか、グループの中でどういう役割で参加すればいいのかが分からず、グループ活動への不安や不満がでてきたのかもしれない。どういうことが良しとされるのか、どういう価値観がそこにあるかを授業の中で共有していく必要があるといえる。
参考:ビビアン・バー(2005)社会心理学が描く人間の姿.ブレーン出版

【KUFS】授業アンケートから見えてくるもの

今週から、授業アンケートが全学的に実施されている。私の授業でも、授業アンケートを配り、自由記述については、その結果を授業後すぐに見ることができた。内容をみたところ、結構みんなクリティカルに書いているい。私が学生のころは、なんでも「良い」を●つけていた気がしたが、きちんと評価に取り組んでくれていた。肯定的な意見については、さておき、ネガティブの意見が2つあった。ひとつは、「グループ活動になじめず、授業に一生懸命取り組めない」というものだった。私の授業は、基本的にはグループ単位の学習活動となる。私自身、チームで学習することが多く、特に問題なくグループ学習に参加してきたのだが、グループ学習に入れない→学習できない学生がいることがわかった。たしかに、授業をしていても、グループ活動に入れていない学生はいた。これに対してどう対応すべきか。今後の課題である。もう一つのネガティブな意見は、「他の授業と比べて、レベルが高すぎる。もっと簡単な内容で、楽な授業にしてほしい」というものだった。私の授業では、論文やレポートに役立つようにシンキング・ツールを導入して論理的な文章作成を行ったり、プレゼンテーションの実践では、多角的な観点から調べないと答えがでないテーマ(グローバルイシューや国際問題)を扱った。たしかにプレゼンを作るだけでも、かなりの労力が必要になる。毎回の授業の振り返りで、「見方が違えば、出てくる結論も違う」というように授業で意図したことがしっくりくる学生もいれば、「しんどい」→「やりたくない」となってしまう学生もいる。なぜ、そのテーマなのか、なぜ、グループで活動するのか、という意味付けができていないのかもしれない。授業設計についてもう一度見直し、たとえば、最初の段階でアイスブレーキングをするとか、テーマについての教員の意図を活動前に伝えるなどしたほうがいいのかもしれない。来年度への課題とする。

【KUFS】SAと連携した授業設計

外大で担当している授業のひとつ「映像メディアの制作」では、受講生の中から6名Student Assistant(SA)として、授業を支援してもらっている。具体的には、授業前に、個人研究室に集まってもらい、次回の授業についてテーマを考えたり、どういうプロセスで指導すればいいかについて話し合う。私にとっては、外大の学生を対象に授業をするのは初めてであったため、どういうテーマに関心があるか、どれくらい情報技術(パソコンスキル)があるかについて、わからないことが多かったため、彼女たちの情報をもとに授業を組み立てている。また、事前に授業内容を進めてもらい、どこでつまづくか、どういう支援が必要かについて把握し、授業設計を行っている。彼女たちは、他の学生よりも早く制作活動を進めるため、授業中では、私のアシスタントとして授業を支援してくれる。たとえば、音声の編集や静止画の挿入などについて事前に学習するため、授業で質問があれば、対応してくれるのである。KUFSにはSA制度というものがないため、教員ひとりで授業をケアする必要があるが、中には非常に学習意欲や社会貢献に対して関心のある学生がいるため、彼ら彼女たちと一緒に授業を「作っていく」というのは非常に教員にとっても、学生にとっても(HOPEFULY)価値がある実践であると思う。

教育工学会 シンポジウムに参加

日本教育工学会設立25周年記念シンポジウム(@東京@6月19日)に参加した。発表者は、教育工学の中で、活躍している4人の若手研究者である。テーマは、「研究方法論を探る(私の教育工学研究 -この10年の潮流を踏まえて-」であり、これはまさに私が現在一番関心を持っているテーマである。

私が関心をもった点は次の点である。

(1)教育工学とは、すなわち「インタラクションをどう支援、実現するのか」である。

非常に共感できるし、同様の考えを持って、授業設計の開発をしている。学習とは何か?と考えたときに、はやりそこには、人とインタラクション、メディアとのインタラクション、制度とのインタラクションなど様々なインタラクションがある。そのインタラクションをどう支援するのかを考えることが教育工学の視点のひとつであると思う。

(2)研究者と実践者の関係

金西先生は、教育工学研究では、大学の先生が、自分が開発したシステムや教材を使って授業を実施し、それを評価したものを報告するものが多いと指摘した。もちろん、研究者としてフィールドにはいって研究される研究者も少なくないが、システムや教材開発の評価をする際、それが高等教育の学生を対象とするのであれば、自分の授業で活用するのが研究しやすい(自分もそうである)。そのため、研究で求められる客観性を今後どのように考えていくかが課題となるであろう。また、研究者として(実践者とは別に)フィールドにはいって場合でも、実験研究ではなく、介入研究、すなわち、研究対象となる教師も研究を一緒にする当事者であるというスタンスの研究も最近は多い。近年の研究はこのような流れになってきている(そういうニーズもある)ため、これまで研究成果の基準となっていた妥当性と信頼性という基準を、教育工学においてどのように見直すかも課題となると思った。

(3)システムと実践の両方を取り扱うための研究方法のポイントは?

これは、まとめ役の東京大学山内先生からの登壇者への質問である。私自身、これについては、考えてきたし、自分なりの意見がある。たしかに、システムを評価するだけではなく、システムを使った場面、つまり実践の中でのシステムの評価は必要だと思う。その方法として、登壇者からは「質的な研究が必要である」という意見があったが、質的な研究にもパラダイムがあるため、一概に「質的研究との組み合わせがいい」とはいえない。実証主義的アプローチか解釈学的アプローチかによって、得るデータ、分析の仕方、考察の結果でてくる知見は異なる。山内先生は、システムだけではなく、そのシステムが活用される文脈、たとえば、個人の認知プロセス、社会的インタラクション、社会構造なども含めて考察していくことが必要とあり、そのためには方法論のマイクロパッケージが求められるとあるとまとめられていた。たしかに、社会構造や社会的インタラクションを含めた研究を実施するとなると、システムの評価のためにかなりの労力と時間がかかってしまう。ある程度パッケージ化するようなことも必要だと思うが、結局グラウンディッドセオリーの多くの研究でみられるように方法論だけに頼ってしまうようなことが起きるかもしれない。今後、教育工学がどういう研究方法論を受け入れていくかが、楽しみだ。

詳細はコチラ

http://www.jset.gr.jp/sympo/sympo_2010.html

【科研】多地点テレビ会議システムのテスト

6月は、企業や大学が提供している様々な多地点テレビ会議システムを使って実験をしている。スカイプの1対1のシステムの性能がかなり良いので、どのシステムを使っても満足できない。今日はNTTのMeetign Plazaというシステムを利用した。インストールも用意で、インタフェースもよく、ファイルやホワイトボードの共有ができるため、会議を支援するツールとしては非常に優れている。しかし、音声の調整が難しく、聞こえにくい。今週金曜日の科研会議はこのシステムを利用し、来週は、他のシステムを使ってみる。7月には、今後継続的に使うシステムを決定したい。

その他のテレビ会議システム

www.dimdim.com (無料のビデオ会議システム)

【KUFS】メディアリテラシー育成のための映像制作

現在、H先生のゼミ支援をしている。具体的には、ゼミで、ドキュメンタリーを制作する際の編集作業の支援である。H先生のゼミでは、情報がどのように編集されているかを学生に理解させるために、実際に映像制作をさせているのである。私自身、報道部で働いた経験を通して、情報というものが如何に「編集」されているかがわかるようになったが、それまでは「情報操作」と聞いてもなかなかわからなかった。実体験を通して学ぶというのは非常に良いと思う。Learning by Doing。ただし、情報が編集されていることを知るためには、ある程度それを意識させながら、編集させる必要がある。いつか私もゼミを持つことになったら是非こういう実践に取り組んでみたい。

【KUFS】学校と連携したマルチメディア教材づくり

秋学期から、「マルチメディアの制作」という授業で教材制作を指導する。外大には、将来英語や日本語の教員になりたい学生が少なくないため、教材制作を大学で学んでもらうというのが目的である。利用するとソフトはマクロメディアのフラッシュ(MX)。ゲーム感覚の教材や物語感覚の教材が作れる。この授業では、単にフラッシュを使って教材を作るだけではなく、教材制作に関する知識も身に付けてもらいたいので、2,3回は講義を入れようと思う。

さて、教材制作をするために大学時代から準備をするのはいいが、作って終わり、だとモチベーションが上がらない。誰かに使ってもらえる、誰かの役に立つ、という意識は、ひとつのモチベーションになる。そういう背景から、2年前から外大では、小学校の先生の意見をもらいながら、教材を制作するという実践をしている。それは今年度も引き継いで実施する。

先日連携先の小学校(外大の近くのY小学校)に行き、担任教員と話をした。子どもが楽しんで英語に親しめるような教材がいい、とのことである。そのため、「楽しんで英語に親しむような教材」が教材制作の目的になる。そのために、どんな内容を講義で扱うか。Y小学校のニーズをより明確化していくと同時に、教材制作のプロセスや理論について整理しておく必要がある。

【KUFS】第二言語習得 スペイン語の授業

授業支援の一環としてT先生のスペイン語の授業に入った。非常によく組織化されていて、学生は個々のレベルに合わせて自律的に学習している。かなり真剣に学習に取り組むので、びっくりしてしまったくらいだ。ひとりくらいは、さぼったりするのかな、と思ったが、全員が各自課題を決めて、学習していた。

T先生の授業分析については、また別の機会に述べるが、第二言語習得の学習には、その分野の理論や方法があると思った。第二言語習得に関する先行研究をあたってみようと思う。

アクションリサーチについて理解を深める

毎月1度、お茶の水名誉教授のM先生と文献ゼミを実施している。参加されている先生方はM先生が東大とお茶の水で教えられていた時の学生や共同研究を実施されている先生方である。この中で私は一番の若手なので、日々ついていくために努力をしている。

さて、現在、輪読しているのはアクションリサーチについて。アクションリサーチという言葉は、教育工学の分野でもデザイン研究(デザイン実験アプローチ)や状況に埋め込まれた評価、介入研究(活動理論に関連して)などの研究方法を採用する際に、必ず耳にする。私も、主な研究方法はアクションリサーチであるため、今回の輪読内容は自分の研究と関連しているので大変関心が高い。アクションリサーチは多義的に理解され、また使われているため、かなり広い範囲の研究がアクションリサーチといわれている。しかし、アクションリサーチの理論的背景をしっかりたどっていくと、方法論だけの問題ではないことに気づく。詳細については、M先生の著書を読むことをお勧めするが、アクションリサーチは、批判的アプロ-チの流れを受けているので、方法論だけをアクションリサーチにするのではなく、認識論との一貫性が必要となる。M先生との議論を通して、理解が深まる。研究方法論については、「方法」だけではなく、「論」つまり、理論背景となる認識論も含めて考慮し、適切な方法論を選択していかなければならない。

小学校の「道徳」 違いの背景にある多様性を考える

関西大学初等部で公開授業があった。公開授業をするのは、私の共同研究者でもあり、家族のように親しくしてくれるM先生である。M先生とは、3年前から一緒に、思考育成の教育や異文化理解についての研究をしており、博士論文の事例でもとりあげさせてもらった。

さて、M先生の授業は、なかなか見ることができないくらい素晴らしい授業である。実際、M先生は、文部科学省からも表彰されており、いわゆる、スーパーティーチャーなのである。今年度は、なかなか機会がなく、M先生の授業をみることはなかったが、久しぶりに授業をみせてもらい、かなり興奮した。間の使いかた、発問、意見の重ね方、議論の促し方、関心のひきつけ方、何をとってもすごい。私もM先生の授業を長く見せてもらっており、自分の授業でも実践しようと試みているが、なかなか難しいのが現状。3年生の授業とは思えないくらい児童が自分の意見を、理由をもって述べる。5年生でもこんな風にいかないわ、と観察していた先生がおっしゃっていたが、その通りだと思う。3年生でも先生によってはここまでできてしまうのだ。

公開授業では、「問題場面」に対する行動の多様性を考え、その背景になにがあるかを考えるというものである。本をかした次郎君が太郎君に、図書館に返さないといけないから返して、とお願いするが、太郎君は返してくれない。さて、どうする?という問題場面である。その行動として「たたく」「どなる」「やさしくかえして、という」「だまる」というものがあるが、「どなる」「やさしくかえしてという」「だまる」の3つでかなり意見の違いがみられた。そこでM教員は、どうしてそういう行動をとるのかについて考えてみよう、と児童に促す。「どなると、ほかの人に知らせることがでるから、どなったほうがいい」「やさしくいっても、返してくれないなら、強くいったほうがいい」「逆切れされなくないからだまる」といった意見がでてくる。

道徳などで答えを導きだすものではないため、いろんな意見がでたところで授業は終了したが、その中で、「自分のことだけを考えて行動するのではなく、相手がどう思うのかということを含めて、どう振舞うべきかを考えることが大事」という結論に至った。素晴らしい授業だった。

【KUFS】シンキング・ツールを活用したレポート作成

私が担当している情報技術の実践の授業で、シンキング・ツールを導入した。この授業では、ワード、エクセル、PPTの基本操作について、学生に学ばせるという目的があるが、それだけではなく、それらを道具として活用し、自己表現をすることも目指している。自己表現するためには、表現方法、つまり、自分の主張を論理的に述べるという力が必要になる。第一回目の課題では、感想文は書けるが、客観的事実をもとに自分の主張を論理的に述べるというところまで到底至っていないことがわかった。そこで、ワードで作文を書いたり、PPTで調べたことを発表させる前の段階で、論理的に文章を書くための技術を教えるためにシンキング・ツールを導入した。シンキング・ツールには多様なものがあるが、取り上げたのは、トライアングルというもの。これは、米国でもよく使われているもので、トピックセンテンスに対して、Supporting ideaそしてDetail of supporting ideaを文章を書く前にまとめさせるものである。実際に、書かせてみると、何も考えずにいきなり書き出した時よりも、ずいぶん論理的に書けるようになった。論理的に書けるようになった、というのは、つまり、自分の主張に対して、理由を複数のべ、その理由を説明するために事例を持ってきているのである。レポートを書く前に自分の考えをまとめさせるだけでこんなに違いがでるのか、と感動した。

しかしながら課題もある。主張を述べるためにその理由を考える際には基礎知識や経験が不可欠になる。自分の主張を述べるだけの知識や経験がないため、具体的にそれを述べることができず、結局説得力のない文章になってしまう。新聞や本をよく読んでいる学生とそうでない学生の差がかなりみられた。以上のことからも、論理的思考力のように高次な思考活動をさせる際には、その活動を支えるためのリソースを準備してあげるべきだとおもった。これは来年の授業への課題する。

異文化理解教育における思考研究

関西大学初等部のM先生と関西大学のK君(博士課程)と関学のY先生と共同で異文化理解教育における思考研究について研究することになった。
先日(6月21日)に第一回目の会議を持ち、関係者の先生方で打ち合わせ。異文化理解教育における「思考」をどうとらえるか、について議論し、めざしたい(育てたい)姿に導くためにどういう仕掛けが必要なのか、それを評価するためにはどういったデータ(研究方法論)が必要か、について議論した。今後、具体的な実践計画、研究計画をたてて、進めていく。教育心理の先生と一緒に研究できるのは私にとっても非常に勉強になるので、今後の展開が楽しみだ。